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令和5年度 第7回 抄読会(2月24日)

令和5年度 第7回 抄読会(2月24日)

本日の文献
“Association of Whole Blood With Survival Among Patients Presenting With Severe Hemorrhage in US and Canadian Adult Civilian Trauma Centers”
アメリカとカナダの外傷センターにおいて、 救急部(ED)到着後1時間以内に赤血球を4単位以上を受けた収縮期血圧90mmHg未満でショック指数1以上の成人外傷患者2785名を対象とした後ろ向き研究です。RBC: FFP:PLT=1:1:1の大量輸血プロトコル(MTP)を行った群と、MTPに全血輸血を加えた群の2群で24時間死亡と30日死亡に差があるかが検討されました。結果は全血輸血を加えると、24時間死亡リスクが37%低くなり(ハザード比,0.63;95%CI,0.41~0.96;P=0.03)、この結果は30 日目でも一貫していました(HR,0.53;95% CI,0.31-0.93;P = 0.02)。両者の差は約5時間後には現れ、輸血後の副作用に両群の差は認められませんでした。

先週に引き続き輸血の論文で、今回もプロペンシティスコアマッチングで調整した結果を出しています。なかなかRCTは難しい題材になると思うので、このような大規模のコホートスタディが最高のエビデンスになるのかもしれません。
アメリカで働いていたスタッフによると、最新の知見では白血球や血小板、凝固因子が相互に関与することにより止血が行われると考えられているそうです。それぞれを単独で入れるだけでは止血機構は動かないので、こういう結果になったのではないかということでした。その他、同じ人からの血小板と凝固因子の方が働きやすいのかもという意見もありました。

合併症の観点からはなるべく成分輸血が良いとされてきており、全血輸血は敬遠される傾向にありましたが、今後は転換期を迎えるのかもしれません。外傷だけでなく、多量の輸血を必要とする手術でも同様の結果になるかもしれないです。
当科では毎週金曜日に抄読会を開催しています。

クリクラ学生、研修医、レジデントにも参加してもらい、最新の文献を紹介し医局院全体の知識の向上を図っております。

もし院内のレジデント、研修医、医学生で内容に興味がありましたら、抄読会を撮影した動画がありますので、連絡をしてもらえれば共有します。

本日の文献
https://jamanetwork.com/journals/jamasurgery/article-abstract/2800598

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