令和5年度 第11回 抄読会(3/24)
令和5年度 第11回 抄読会(3/24)
本日の文献
“Alzheimer Disease Blood Biomarkers in Patients With Out-of-Hospital Cardiac Arrest”
心肺停止蘇生後のガイドラインとして、ABCの安定化、TTMの施行、CAGの検討の次に神経学的予後の評価を行うとされています。2021のガイドラインでは、NSEの高値が予後不良のサインの一つであるとされていましたが、その後も様々なバイオマーカーが検討されています。NFL(ニューロフィラメント軽鎖タンパク質)、GFAP(グリア線維性酸性タンパク質)がその候補とされていますが、今回はアルツハイマー型認知症のバイオマーカーであるp-tau(リン酸化タウ)Aβ(アミロイドβ)と神経学的予後の評価とが検討されました。結果としては、心停止後24時間の採血ではp-tauは予後良好の診断に有効(AUC, 0.96; 95% CI, 0.95-0.97)であり、NFLと同等(AUC, 0.94; 95% CI, 0.92-0.96)でありましたが、48時間、72時間後には低下しました。Aβはほとんどの患者で経時的に上昇しましたが、神経学的転帰との関連は弱いものでした。
NFLのほうが心停止後の予後不良群で高値が持続しているため良いマーカーではないかという意見が出ました。マーカーとしてはそうだと思います。この試験の売りは、分野を超えた領域でのマーカーで結果が出て、それが元の分野の理解度を深めることにもつながることだと思います。p-tauの特徴がわかり、このことが今後アルツハイマー型認知症の研究にも役立つ可能性があるということだと思います。血清をためておいて後から新しい物質を調べていくという手法は、比較的楽な研究方法ですね。今後もTTM試験の血清サンプルを使った様々なバイオマーカーの検索が行われるのだと思います。
当科では毎週金曜日に抄読会を開催しています。
クリクラ学生、研修医、レジデントにも参加してもらい、最新の文献を紹介し医局院全体の知識の向上を図っております。
もし院内のレジデント、研修医、医学生で内容に興味がありましたら、抄読会を撮影した動画がありますので、連絡をしてもらえれば共有します。
本日の文献
https://jamanetwork.com/journals/jamaneurology/fullarticle/2802181