令和5年度 第12回 抄読会(4/7)
令和5年度 第12回 抄読会(4/7)
本年度より抄読会は2週間に1回で担当をスタッフで分担することになりました。
今回の担当は塩見教授です。
今回の文献
“Intracranial pressure monitoring in patients with acute brain injury in the intensive care unit (SYNAPSE-ICU): an international, prospective observational cohort study”
急性脳損傷(外傷、脳卒中を含む)に対してICP(頭蓋内圧)モニタリングを行うことは、中南米で行われたRCTにて否定的な結果(生命予後、神経学的予後に差なし)が出たためあまり推奨されていません。しかしこのRCTには問題があると考え、多国籍での前向きの観察研究を行った研究です。42か国、146のICUに入室した18歳以上の急性脳損傷患者2395人を対象にしました。6ヶ月死亡率は、ICPモニタリングを受けていた患者(441/1318 [34%])では、モニタリングを受けていなかった患者(517/1049 [49%]; p<0-0001])よりも低くなっていました。また、少なくとも1つの反応しない瞳孔を持つ患者の6ヶ月死亡率の有意な低下(ハザード比[HR]0-35、95%CI 0-26-0-47; p<0-0001)、6ヶ月後の神経学的転帰の改善(オッズ比0-38、95%CI 0-26-0-56; p=0-0025)に関連していました。
死亡率の差が15%もあるのはすごいという意見。全体としては、神経学的予後に差がでなかったのは残念だとする意見が出ました。サブグループ解析で片側の瞳孔の反応が無い患者で生命予後、神経予後に改善効果が出ているのでしたら、ICPモニターを入れることに前向きな気持ちになれますね。
当科では2週に1回抄読会を開催しています。
クリクラ学生、研修医、レジデントにも参加してもらい、最新の文献を紹介し医局院全体の知識の向上を図っております。
もし院内のレジデント、研修医、医学生で内容に興味がありましたら、抄読会を撮影した動画がありますので、連絡をしてもらえれば共有します。
本日の文献
https://www.thelancet.com/journals/laneur/article/PIIS1474-4422(21)00138-1/fulltext