令和5年度 第6回 抄読会(2月17日)
令和5年度 第6回 抄読会(2月17日)
本日の文献
“Association between in-ICU red blood cells transfusion and 1-year mortality in ICU survivors”
フランスとベルギーの21施設のICUで実施された多施設コホート研究の生存者1551名を対象とした調査で、赤血球輸血を受けた患者は非輸血群に比べて一年死亡リスクが高かった(ハザード比(HR)1.78、95%CI 1.45-2.16)。そしてこの結果は40の重み付け解析をしても変わりなかった(HR 1.21、95%CI 1.06-1.46)。輸血群では腎機能が悪化する傾向があったという報告です。
輸血という介入をRCTで行うのは限界があるので、どうしても観察研究で統計的手法を駆使した解析が必要となり、わかりにくい論文になります。この論文ではプロペンシティスコアを使用し、逆確率重み付け(IPTW)によって解析していましたが、この統計の手法も限界があるため、今後もっと有効な方法が開発されていくのだと思います。
輸血に関する論文では生存率に差が無かったとする論文、あったとする論文があります。集団の違い、解析方法によって異なった結果が出るのだと思いますが、RCTの難しさを考えると統計手法の発達に頼らざるをえないのかもしれません。
当科では毎週金曜日に抄読会を開催しています。
クリクラ学生、研修医、レジデントにも参加してもらい、最新の文献を紹介し医局院全体の知識の向上を図っております。
もし院内のレジデント、研修医、医学生で内容に興味がありましたら、抄読会を撮影した動画がありますので、連絡をしてもらえれば共有します。
本日の文献
https://ccforum.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13054-022-04171-1