令和5年度 第8回 抄読会(3月3日)
令和5年度 第8回 抄読会(3月3日)
本日の文献
“Mouse Model of Critical Persistent Inflammation, Immunosuppression, and Catabolism Syndrome”
敗血症の死亡には、 最初の数日間の早期ピーク、数週間後の中期ピーク、最初の敗血症から数ヵ月後の長期ピークの3つのピークがあると考えられており、この後期死亡の原因にはCritical Persistent inflammation, immunosuppression, catabolism syndrome (PIICS) と呼ばれる病態があると考えられています。早期の動物モデルは様々なものが開発されていますが、PIICSの動物モデルはあまりありません。そこでこの研究では広く用いられている盲腸結紮穿刺モデル(CLP)に時期をずらしてエンドトキシン(LPS)を投与することによって、PIICSに似た病態(低アルブミン、免疫抑制、MDSCの増加、筋力低下、臓器障害等)を呈することがわかったと報告しています。
一般的に最も使用されている敗血症のモデルはCLPモデルかLPSモデルになります。これらの動物実験モデルでは、効果的であった薬が多く報告されていますが、ヒトで有効であったとするものは殆どありません。ヒトの実際の病態と動物モデルが異なるからではないかと考えられているため、このような新しいモデルを作成されているようです。今後このモデルが主流になるかどうかはわかりませんが、敗血症の予後を改善するためには、より良いモデルでの検討は不可欠だと思います。
この研究では定量的PCR、ウェスタンブロッティング、組織観察、フローサイトメトリー等、広く使用されている実験手技を用いてされており、本講座で十分可能なものばかりです。ご興味のある方はご連絡ください。
当科では毎週金曜日に抄読会を開催しています。
クリクラ学生、研修医、レジデントにも参加してもらい、最新の文献を紹介し医局院全体の知識の向上を図っております。
もし院内のレジデント、研修医、医学生で内容に興味がありましたら、抄読会を撮影した動画がありますので、連絡をしてもらえれば共有します。